東京都心の中小型ビルが直面している、未曾有の空室問題。
なぜ検討客を集めることができないのでしょうか?
その原因はおよそ4つに集約されると書きました。
1.広報力が弱いため、ビルが市場で認知されていない。
2.募集条件の設定や見せ方が今の市況に合っていない。
3.募集活動が、検討客のビルの探し方の変化に対応できていない。
4.内外装や設備の陳腐化により相対的に商品力が落ちている。
では具体的に、これらの原因に対してどうしていけばいいのか考えていきます。
まず、これまでのやり方を見直してみましょう。
我々が募集活動を行う際の信念があります。
それは、
「競争力のある条件設定をして、そのことを仲介会社や入居希望者にちゃんと広報すれば、一定の確率で入居希望者は現れる」
です。
私はこの信念をよく野球の好打者にたとえて、
「打点を取るには打席数×打率だ」
と言っています。
打点(空室を埋めること)は、打席数(認知度を上げること)×打率(決まりやすい条件やウリ)に比例するのです。
競争力のある条件設定にし、ビル独自のウリをたてて打率を上げましょう。
そして、その競争力のある条件とウリをできるだけたくさんの人に広報して認知度を上げるようにしましょう。
そうすれば、必ず空室はなくなります。
「競争力のある条件設定」とは、
賃料ももちろんですが、入居のしやすさや原状回復の条件など、ソフト面も含みます。
これら、なぜ検討客を集められないのか、といったことについては、今まであまり問題にされてきませんでした。
誤解のないように申し上げますと、募集条件を見直すことはこれまでもその時々で行われてきました。但し、どうすれば「競合に勝てるのか」を緻密に考えた募集条件戦略はあまりとられていませんでした。
これは、バブル期の募集方法と大して変わらないやり方がずっと続いてきたからです。
当時はオフィスビルの数よりも検討客の数の方が断然多かったため、工夫など必要ありませんでした。インターネットもなかったので、仲介会社が渡してくれる物件情報がすべてでした。
競争力のある条件設定ができたら、入居者募集の方法を見直してみましょう。
広報の仕方や募集条件の提示の仕方を変えるだけでも効果があります。
たくさんの仲介会社に、ビルの魅力をふんだんに伝える募集資料を持参しましょう。
仲介会社にも住宅がメインのところもありますし、ビルに強くても大規模な物件が得意なところなど様々です。
中小型ビルに強い仲介会社をたくさん選んでください。
また、インターネット仲介会社ともうまく付き合うようにしてください。
そしてビルの認知度をあげましょう。
募集資料もありきたりなものではなく、
「何か面白そうなビル」「味のあるビル」など、検討客から見た「魅力」を発掘することはできないか?そのビルにしかない「ウリ」に焦点を当てて、そのウリを求める人たちにきちんと伝えていくことです。
仲介会社や検討客が、つい来たくなってしまう、内覧会を実施するのも効果的です。
たくさんの物件の中からご自分のビルにまず目を留めてもらうことが重要です。
他の競合ビルが古いままの募集方法を続けている、今がチャンスです。
また、ローコストで、検討客にウケるような改修やリノベーション工事を行い、商品力をあげることで「競争力」そのものをあげることも可能です。
そのことで、競合する周辺物件と同程度の募集条件でも、「競争力のある条件」に変化させることができるのです。
これまでも、大規模リニューアル工事などのわかりやすい改修工事は行われてきました。
しかしこれも、費用対効果や競合との相対的な商品性をきちんと計算に入れたものはあまり見かけません。
施工会社の思惑もあったものと思いますが、多額のお金をかけた分の効果があったかは疑問ですし、どういう点で商品性が上がったのか、そのことを募集戦略に効果的に活かしている例も少ないと言わざるを得ません。
・空室対策に繋がる、テナントの反応がよいポイントを押さえること
・投資額に見合う効果が期待できること
経営感覚を持って効果的な回収工事を行うことが重要です。
また、
競争力のある条件設定、ウリをたてる、ビルの競争力そのものをあげること(打率を稼ぐこと)で、認知度(打席数)が加速する効果もありますので、これらそれぞれのバランスが大切です。
中小型ビルの空室対策 検討客を集めるための方法 概論1に続く
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