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不動産再生は人の歴史と向き合うこと

次世代の働き方とオフィスを考える_28

不動産再生は人の歴史と向き合うこと_ボロッボロマンションの再生物語6

このシミュレーションをしている最中にちょっとした事件がありました。

なんと、管理組合の理事長がある日突然お部屋を売って出て行ってしまいました。その方は長く住んでいた人なのですが、いろいろ検証をしていくうちに、「これはこのまま住んでいても結局とてもお金がかかるってことなのね」って現実がわかっちゃったからなんだと思います。

当初僕らも「一緒にがんばりましょう」って励まし合っていただけにショックでしたが、でも冷静になってみれば確かにそういう選択もありますよね。

他にも、何人かが途中でお部屋を売ったり、売らないまでも「不動産屋が売らないかって何度も電話してくるんだよ。悩むよね」というお話を聞いたり。

確かにそうなんですよね。安くても売っておけば一時的にまとまったお金が手に入るので、このままここで頑張って修繕費用を払ったり、建替えの時に大きな一時金払ったりってことに比べると、分かりやすい解決方法です。そのお金で当面は賃貸暮らしでもいいワケですから。

まあそんな悲喜こもごもを抱えつつ、どうにか出てきた方向性としては、「お金借りて修繕する」か、「みんなで一斉にデベロッパーに売っちゃおう」のほぼ2択です。

みなさんならどうしますか?

こういう問題を抱えてるマンションって多分相当多いんだと思いますが、でもなかなかスムーズに解決した例って聞きませんよね。

それぞれの人にそれぞれの人生設計があって、ある人はこの先も長く住みたいし、「もう老い先も短いから」という人もいて、「ウチは人に貸してるだけだから修繕積立金増やされるくらいなら売っちゃうよ」とか、もうその背景はホント様々で、どの方向性が一番いいって決められないんですよ。

「これ、社会の縮図みたいな話だね。どうまとめようか」と言っていた矢先です。

「地元の不動産賃貸業の会社が買いたい」という話がいきなり出てきました。マンション全体を、ではなくて、僕ら仲間内が持ってる分(約2/3)だけです。なんでも、地元でいくつも不動産を持って貸しているので、ちゃんと賃貸で回ってるなら欲しいってことでした。「そのうち立て替えも考えると思うけど、回ってるうちはそのまま貸して他の区分所有者と十分話し合って決めていきますよ。そのうちうまくタイミングが合う時期も来るでしょう」という腰の据わった会社さんでした。

「どうしよ?言われてる値段なら十分利益も取れるし・・・」「いや、ここまでみんなと一緒にやってきたんだから僕らが最後まで仕上げよう」と僕ら(この時点で6者)の中でもあれこれ意見が飛び交いました。

最終的な結論としては、「地元の腰の据わった会社がじっくり仕上げてくれるなら、他の人たちにとっても一番いいのでは?」ということで買ってもらうことにしました。僕らはしょせんヨソ者です。商売としての時間軸の話もあるので、どこかでは住んでいる人たちと足並みが揃わなくなるでしょう。それなら、僕らよりも長くこのマンションに関わり続けられる体力と、地元での責任も抱えて商売やってるところに譲った方がよりいいだろう、というのが理由です。

そんなこんなで5年間このマンションに関わり続けてきたのですが、建物の危険な部分をギリギリの修繕や保険でカバーし、空き部屋を埋めて、管理費滞納問題も解決し、管理組合も設立して修繕計画もたて、修繕積立金も設定して、と、建築的な改修はほとんどしていませんが、結局これも一種のリノベーションだったんだなって思います。

明らかに不動産の価値は上がっていますし、安定稼働が見込めるから地元の会社が買いたいとも言ってくれたワケですから。

不動産、特に古い建物に関わっていると、そこにいる人たちの長い歴史とも同時に向き合うことになります。それを無視してビジネスを優先する(強引に買収するとか)と、必ず軋轢が出ます。この案件での5年間はそれぞれの人たちの歴史や背景を聞かされ続けた5年間でもありました。不動産の再生の仕事をやろうと思ったきっかけも、とあるオーナーの人生の歴史を時間をかけて教えてもらったことだったな、としみじみ思いだしました。マネーゲームのような仕事より、やっぱり性に合っている気がします(笑

(ボロッボロマンションの再生物語 終わり)

(石田)

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